胃がんの治療

胃がんの治療

胃がん手術では、病変を含む胃の一部またはすべてを取り除く胃切除、胃の周囲のリンパ節を取り除くリンパ節郭清(かくせい)、食物の通り道をつくり直す消化管再建を行います。胃切除の方法には、幽門側胃切除(下2/3の切除)、噴門側胃切除(上1/2の切除)、胃全摘(胃を全て切除)があります(図1)。

幽門側胃切除
(下2/3の切除)

噴門側胃切除
(上1/2の切除)

胃全摘
(胃を全て切除)

胃を切除した後は、食物や消化液の通り道を確保するために、食道や残った胃、小腸をつなぎ合わせること(再建といいます)を行います(図2)。切除後の状態を考慮して最も適切と考えられる再建方法を選択します。

従来の開腹手術と比較して、通常の腹腔鏡手術と同様に、傷が小さく痛みが軽度で、手術後の回復が早い、手術中の出血量が少ないなどの利点があります。

胃がんに対するロボット支援下手術

日本では、2018年4月より胃がんに対するロボット支援下手術が保険適用になりました。
当科では保険適応になる前の2017年11月よりロボット支援下手術を開始しており、現在では、進行胃がんに対するロボット手術やロボット支援下胃全摘術なども積極的に行っております。保険診療としてロボット支援下手術を行うためには、厚生労働省から施設認定を受ける必要があります。当科はこれらの基準を全て満たしており施設認定を受けています。

実際のロボット支援下胃がん手術は、術者と助手2名で行います。 執刀責任は十分に腹腔鏡下手術経験を積んだ医師が担い、執刀は日本内視鏡外科学会技術認定医かつIntuitive(インテューティブ) Surgical(サージカル)社による認定を受けた医師が行いますが、当院では胃がんに対するロボット支援下手術執刀資格を有する医師が3名おります。

術後経過 入院日数など

食事

一般的な術後経過は、1日目 水分摂取、2~3日目 食事開始、6~7日目 退院見込みです。ただ、術後の合併症により、経口摂取開始や退院までの期間が延びる場合があります。

退院後は継続して自宅での食事療養が必要です。当院では退院前に食事について管理栄養士の指導を受けていただき、胃切除後の食事療法について確認をしていただきます。また、退院後外来でも管理栄養士による栄養指導を行っており、胃切除後の食事療法について長期的にフォローさせていただいています。

費用

胃がんに対するロボット支援下手術は保険診療として認められており、手術日を含めた入院費は健康保険の適応となります。2022年度診療報酬改定において、胃がんに対するロボット支援下手術のメリットが評価されたことから、腹腔鏡下手術と比べ少し高い保険点数となります。ただし、高額療養費制度(高額医療費支給制度)が適用されるため、患者さんのご負担する支払い総額に関しては、ロボット支援下手術と腹腔鏡下手術のに差がないことがほとんどです。

国立大学法人 東京医科歯科大学 消化管外科学分野
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